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南北朝期、南朝方の侍大将として、南朝の柱石・北畠氏と共に |
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元中九年の南北朝合一以降も吉野朝を支えた有数の正規武士団 |
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（一条忠頼の裔）である伊勢愛洲氏の一族であります。 |
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伊勢大神宮・内宮一禰宜氏経卿が愛洲移香斎久忠の父と思われる |
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愛洲伊予守忠行に宛てた、文明十一年十二月二七日の書状で「進上御 |
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奉行職」と記しています。 |
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この書状に依り、愛洲伊予守忠行が、伊勢大神宮神領奉行職であった事 |
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が、当顕彰会の研究で明らかになりました。 |
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この書状は「蔵方牢人仲裁の書」とも呼ばれ、伊勢・山田の「蔵 |
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方」を兼ねる神役人達の内部抗争で、山田を追い出された一派が山 |
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田へ還住せんとし、あわや一合戦かと思われる切迫した状況下で |
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「神領奉行職・愛洲伊予守忠行」が仲裁を行っている模様を知る事 |
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が出来る貴重な資料であります。 |
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この書状と内宮引付文明十一年十二月五日「蔵方牢人仲裁の事の書状」の両 |
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書状に依ると「蔵方」を兼ねる山田神役人の内部抗争に手を焼いた室町幕 |
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府は御遷宮間近の神三郡の治安の維持を「半国守護」の一色義春ではなく、 |
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伊勢国国司「北畠政郷」と「山田三方」に中立な「愛洲伊予守忠行」に白 |
| 羽の矢を立てました。室町幕府の執奏に依り朝廷の裁可となった愛洲 |
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伊予守忠行の神領奉行職は抑々伊勢大神宮祭主家の兼務でありました。 |
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長保年間（九九一年〜一〇〇四年）大中臣輔親卿から明徳応永年間（一三 |
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九〇年〜一四二〇年）清忠卿の頃まで凡そ三百九十余年間執務した所が岩 |
| 出祭主館でした。南北朝期、度会家行卿が楠正行と呼応して兵を挙げた時、 |
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北朝に味方する祭主を討つとの風評に正平三年正月四日（一三四八年） |
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夜にまぎれて京に逃げました。その後の岩出祭主館は「岩波の廃塁」となり |
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ましたが神領奉行職を拝命した愛洲伊予守忠行は一之瀬の拠城より「岩出祭 |
| 主館跡」を修復し入城となりました。 |
| 此の岩出の祭主館の宮川を挟んで東岸が「佐八（そうち）」で「藤波の里」 |
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と呼ばれ伊勢大神宮内宮禰宜荒木田氏の里でありました。 |
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（江戸時代、佐八は神領地から外され紀州領となり第十代山田奉行桑山丹後守 |
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貞政の指揮に依り寛文七年十一月十五日御普請役御組頭橋本市郎左衛門浄安 |
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（きよさだ）は紀州藩田丸表役人神前半九郎正伴と臨検し、山田三方年寄 |
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立会の上その境域に三坪塚を設けました。幕府の朱印状は寛文十年二月十日 |
| に下付されています。 |
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紀州藩との境界問題は大岡忠相ではなく第十代山田奉行桑山丹後守貞政に依 |
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って解決されたのです。） |
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秋風は 河音高く ふくる夜に 月影さゆる 岩なみの里
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行春を とゝめかねては 万世 松にそちきる 藤なみの里 |
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