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上泉武蔵守信綱の上野国出国以前からの高弟（一説には信綱の甥とも。）疋田豊五郎は『上 |
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泉武蔵守信綱師は「新陰流」の流祖ではありません。「新陰流」の流祖は「影流」開祖愛洲 |
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移香斎久忠師で、二祖が愛洲小七郎宗通、上泉信綱師は三祖であって、疋田豊五郎自身が |
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四祖です。』と伝系図に記して来ました。この疋田豊五郎の伝系図に最も異を唱えたのは「新 |
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陰流」正統を唱える「柳生一族」でした。太平洋戦争前、昭和の初め頃柳生厳長翁は |
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何故に、上泉師の高弟疋田豊五郎栖雲斎が陰流にまで流儀を遡って移香斎をその伝系図に |
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載せているかは筆者の最も不可解とするところである。」と「正伝新陰流」に記しています。 |
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斯様に疋田豊五郎の伝系図は天保年間源徳修翁が｢撃剣叢談｣で披歴されて居るにも拘らず |
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疋田豊五郎の「新陰流」が亜流扱いされた為に僅か九州熊本藩内でのみ伝承されて来た次 |
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第です。（元禄年間直心影流の創始者山田平左衛門光徳は「上泉信綱」が名乗った「新影流」 |
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と「疋田豊五郎」が起こした「新陰流」の相違に着目しました。上泉信綱が影流の「影目 |
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録」の「猿飛」を「燕飛」と単に名前を変えた丈で流儀名を「新影流」とした手法を真似 |
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て「影目録」の「三学」を「法定」と名を変えて「直心影流」を名乗ります。） |
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話は変わりますが去る平成二十一年二月熊本県城南町郷土資料館で城南町教育委員会と九 |
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州文化財研究所との共同で「疋田豊五郎直筆永禄九年二月吉日雲林院弥四郎入道宛新當流 |
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起請文」が「新史料による天草・島原の乱＝その時・徳川政府軍はどう考えたか＝」の展 |
示会で四百五十年の時を経て初めて一般公開されました。
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新當流起請文 |
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侏（疋・引）田豊五郎は、新陰（影）流の開祖・上泉信綱の甥とも弟子とも云われ、永禄 |
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六年頃（１５６３）上野国（群馬県）から上洛し、元亀二年（１５７１）七月上野国下向 |
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まで約８〜９年間京都に本拠を据え新陰流の公布活動をした上泉信綱に随身したと云われ |
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ています。上泉信綱の検証史料として重複する「関東幕注文」には厩橋衆に「引田伊勢守」 |
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の名が見られる所から引田伊勢守の一族と思われます。 |
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太田亮翁の「姓氏家系大辞典」では室町幕臣、永享・文安年中に見える番衆の疋田、永禄 |
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年中に見える「御末之男の疋田」は「伊勢の疋田」であると指摘されています。侏田豊五 |
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郎が伊勢国の豪族雲林院城主雲林院弥四郎光秀より「塚原卜傳直伝新當流兵法」を習 |
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雲林院 |
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氏」と同族であって始めて伝授されます。（起請文の宛人、雲林院 |
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本藩剣術指南役雲林院 |
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本稿では「塚原卜傳一之太刀免許皆伝者（伊勢国）雲林院弥四郎入道宛疋田豊五郎の新當 |
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流起請文」「伊勢国国人長野氏・雲林院氏史料」｢伊勢大神宮一禰宜・氏経卿の内宮引付｣「伊 |
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勢国司北畠氏史料」等を駆使し「影流」の観点から「上泉信綱と新影流」を考察します。 |
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永禄六年頃上野国から上洛し元亀二年言継卿の結城氏の紹介状を携えて下野国へ下向する |
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迄の今迄の上泉信綱伝が間違った伝承であるばかりか柳生家伝承等孫弟子から観た影流愛 |
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洲移香斎伝が極端に歪められて来た経緯が明らかになります。 |
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しかも従来、永禄九年五月柳生宗厳へ授与された「影目録」等は、柳生宗厳との合作と考 |
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えられて来ましたが、この新當流起請文で上泉信綱と疋田豊五郎との合作である事も判明します。 |
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